媚薬とは、狭義には催淫剤と呼ばれ勃起不全の治療に使われる薬を言い、広義には性欲を高める薬、恋愛感情を起こさせるような薬を言う。惚れ薬とも称される。肉体的な性機能の改善を目的とした精力剤、強壮剤も含まれる。
媚薬とは主に性的興奮を高める作用を持つ薬の総称であるが、その歴史は古く精力の付く薬や食品の総称ともとらえることができる。多くの場合こうした薬の作用は個人差が大きく、薬効の認識によっても差異がある。基本的には精神を自在に操作することのできるほどの薬効成分は実用化されておらず、惚れ薬は架空の薬品と認識されている。
歴史的には大変古いが食用となる野菜や果物、獣肉等の産地、知識が偏っていた前近代においては、刺激性物質の入っている食材が媚薬とされることがすくなからずあり、タマネギなど現代では一般的な食材も過去には媚薬扱いされていた。これは嗜好品の一般化した近年とは異なり、当時の人々が刺激性物質や化学物質に全く晒されていなかったために薬効が顕在化しやすかったのではないかという説がある。また前述のプラセボ効果により、珍しい果実や食材に媚薬効果があるというふれこみで輸入・販売されることがあった。
以下は媚薬の主な分類である。
催淫剤 性欲を亢進させる薬。主に男性の精力減退の治療に用いられ、勃起を促す作用を持つ。女性用にはフリバンセリンなどが知られている。フィクションの世界では、女性に向けて用いられることが多いが、同じ薬が男女双方に作用することもしばしばである。
勃起機能改善薬 ヨヒンビンやストリキニーネなど、性器の充血を昂進させる作用を持つ薬。市販薬では、バイアグラが著名で類似した薬も多く売られている。
刺激性物質 経口摂取、または注射により尿内に残留し、尿路から性器を刺激する。多量に摂ると、毒になる物質にこの作用が見られることがある。
性ホルモン剤 アンドロゲン、エストロゲンなどのステロイドホルモン製剤の一部に、性器の発達を促す作用があり、性欲増進に効果があるとされる。
民間の伝承薬 漢方薬や生薬といった、口伝や経験則によって効能や有効成分が認められている薬。または、感応呪術による性器食。
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