検査と診断
1.基礎体温の測定
一般には基礎体温が二相性(低温相と高温相がある)であれば排卵していると考えてよく、排卵は最終低温日から上昇期の3日間に起こります。また排卵直前には、脳(下垂体(かすいたい))から多量のホルモン(LH)が分泌されるので、自宅の尿検査でチェックすることも排卵日の推定に役立ちます。 基礎体温で36・7℃前後の高温相が10日未満の場合は黄体(おうたい)機能不全の場合もあるので、高温相の期間に黄体ホルモン値を測定します。低温相と高温相に分かれない一相性の場合は、排卵のないことがあるので、原因を検索するために月経開始後5日目までの間に血液中のホルモン(LH、FSH、プロラクチン、テストステロン値など)を測定します。
2.経腟超音波検査
卵巣や子宮の形態を検査します。また排卵日を推測するために排卵前後の卵胞(らんぽう)を確認します。
3.精液検査
3〜5日間の禁欲期間後の射精精子を検査します。精液量は2・0ml以上、精子濃度は20×10の6乗/ml以上、射精後60分以内の運動精子が50%以上が正常とされます。
4.頸管粘液検査
排卵前には女性ホルモン(エストラジオール)が増え、子宮の入り口である子宮頸管から頸管粘液が分泌されます。
5.フーナーテスト(性交後テスト)
排卵日に性交後、数時間以内に頸管粘液中の運動精子数を算定します。数回にわたる検査で運動精子が少ない場合は人工授精を行いますが、抗精子抗体の存在を調べるために精密検査をする必要があります。
6.子宮卵管造影(HSG)
月経開始後10日以内に行います。子宮頸管から内腔に造影剤を注入し、X線透視下で卵管の疎通性(そつうせい)と子宮腔の形態を検査します。油性の造影剤を使う場合は、腹腔内拡散像を翌日に撮影します。また、炭酸ガスを注入する卵管通気法(ルビンテスト)や生理食塩水を注入する通水法がありますが、障害部位の診断には不向きです。
7.内視鏡検査
HSG検査で中隔(ちゅうかく)子宮や粘膜下子宮筋腫などの子宮因子が疑われる場合は子宮鏡検査を行います。卵管の閉塞や卵管周囲の癒着が疑われる場合は、腹腔鏡検査で確認する必要があります。
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