漢方による夏の熱射病対策真夏日、といわれるような暑い日がやってくるのが年々早くなっているような気がします。特に小さなお子様やご高齢の方、野外でのお仕事をされておられる方などは脱水や日射による重篤な症状を引き起こす恐れがありますので早いうちからの熱射病対策が必要です。
熱射病対策に代表的な漢方薬
1. 麦味参顆粒
疲れる、食欲不振、動悸などの症状のある方やスポーツ時などはぜひ前後に服用してください。スポーツドリンクに混ぜて服用されれば脱水や熱射病予防ができます。遠足、山や海などのレジャーにも大活躍してくれます。
2. 西洋人参茶
体を温める朝鮮人参とは違い、こちらは体の熱を冷ます作用があるので熱射病対策はもちろん、体のほてり易い人や糖尿病などで口が渇く人にもよく使われます。夏にスイカを食べるのは体の熱を取り、口の渇きを取る作用があるのでスイカは糖尿病の人の食治として使われるのに似ていますね。
暑気あたりの他にも冷たいものの摂りすぎや冷房による体の冷えから引き起こされる夏風邪もだるさや吐き気がしつこく続くことがありますので注意が必要です。冷房が効いてくると体温調節のバランスが崩れ、逆に体調を崩すケースが多くなります。
夏負けしないためにはできるだけ温度差を無くし、疲労しない、飲食の摂生などを考えることが大切です。
熱中症と漢方薬の関係
夏に多い熱中症の主な原因は、簡単に言えば汗によって体の必要な水分が奪われてしまう事によって、内臓や脳の機能が低下する事にあります。 人の体は約60パーセントが水分(老人では50%程度)で出来ています。そして、体重のたった2%の水分が失われただけでも人の体は脱水状態となり喉の渇きを感じ始めます。身体が脱水状態になるという事はこの血液中の水分も減ってしまう事になります。こればいわゆる血のネバネバ状態を生み、血管内でつまりやすくなるのです。では、水を飲めばよいのでしょうか?世間では1日2リットル以上というように云われることもあるようですが、ふつうはそんなに水ばかり飲めるものではありません。 特にお年寄りやもともと胃腸が弱い方が水だけを摂り過ぎると胃酸を薄めてしまうので消化不良になったり、胃腸の働き自体を悪くしてしまう事もあります。 また、身体が冷えやすい人、むくみやすい人、それ以外にも舌のふちにギザギザと歯の跡がついていたり、舌苔がつきやすい人も水分代謝が悪い人ですから、たくさん水を飲むとかえって具合が悪くなってしまいます。
漢方(中医学)では「汗は心の涙」といいます。汗は新陳代謝の一つですからもちろん必要ですが、だらだらと汗が出て、もれ出るようでは問題です。更に汗が漏れすぎると心の働きをも弱めてしまうので、動悸や息切れ不眠などの症状になって現れるのです。 血液の粘りを防ぎ、心臓の働きを守ってくれるものに麦味参顆粒(ばくみさんかりゅう)方剤名「生脈散(しょうみゃくさん)」という漢方薬があります。 麦味参顆粒は夏バテを予防する効果があり、運動をするときや、汗を多くかく時には水やスポーツドリンクなどに溶かして服用しておくと、持久力を増すだけでなく、熱中症の予防にもなるのです。 |