新学期が始まり、学校での新型インフルエンザの感染拡大が懸念されています。こうした中、新型インフルエンザに感染して、インフルエンザ脳症という重い病気を起こすお子さんが相次いでいます。インフルエンザ脳症とはどういう病気なのか?
Q インフルエンザ脳症とは?
A インフルエンザにかかった人が突然、高い熱を出して、けいれん、意識障害、異常行動などを起こす病気です。原因はよくわかっていませんが、激しい免疫反応が起きて、脳が障害を受けるのではないかと考えられています。
例年のインフルエンザで、以前は、1年に100人から300人が発病していましたが、最近は減ってきて50人前後の患者さんが報告されています。
この病気の特徴は、症状が出て、数時間から1、2日という短期間に、急速に症状が悪化することで、死亡率はかつての30%から15%前後に下がってきましたが、脳障害などの後遺症が残る人の割合は25%と極めて重い病気なんです。
今回の新型インフルエンザでも、お子さんを中心に、きのうまでに12人が、この脳症を発症していて、何の持病のない健康な人もかかっていますから、ご家庭や学校では注意が必要です。
Q かかるのはお子さんが多いのか?
A 通常、患者さんの多くは5歳以下のお子さんで、最も多いのは1歳児です。
ただ、今回の新型インフルエンザでは、11歳や14歳といった、少し年齢層が高いお子さんでも、この脳症にかかったケースが国内で報告されています。新型だと、年齢層が高くなるのかどうかはわかっていませんが、これから新学期が始まって小中学校で感染が拡大して、たくさんのお子さんたちが感染しますと、脳症を発症するお子さんたちも増えるのではないかと心配が広がっています。
Q 具体的にどういう症状がでるの?
A ●けいれんは、筋肉が強張ってガクガクと動くもので、20分以上続くものもあります。
●意識障害。軽いものだと、ぼうっとしているとか、うとうとしている状態のこともあります。
●異常行動は、具体的に例をあげると、
(1)その場にいない人がいると言い出すとか、ぞうやライオンなどの動物が見えるといった、幻覚を訴える
(2)自分の手を噛むなど、食べ物とそれ以外のものとが区別できなくなる
(3)意味不明なことばを言い出す、急におびえ出すといったことです。
発熱に続いて、けいれん、意識障害、異常行動が起きたときには、インフルエンザ脳症が始まった可能性もあるので、医師の診察を受ける必要があります。
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